気付いてよ
「それってどういう意味?」
「うん。あのね、考えたんだけど、こんな見事に色々と噛み合わないんだよね。なんか歯車が壊れちゃった時計みたいにね。」
いつまで経っても、そこから動けない。
「そんなことないんじゃないのかな。」
「え?」
「今ってきっと、霧島さんのことが好きな俺からすれば、チャンスなんだろーけどさ。」
俺の考えは霧島さんとは違うから言わせてもらうね、と言って大倉くんは私の方じゃなくて前の方を見つめた。
「壊れたならさ、直せばいいんじゃないかな。壊れた時計って大概直せるんだよ。だからさ、つまり」
「つまり?」
「霧島さんの例えは強ち間違いじゃないってこと。」
「それってどういう意味?」
大倉くんの言っている意味が私にはいまいち理解できなかった。
「これじゃさっきと逆だね。」
そう言って笑いかける大倉くんに私も思わず笑顔になった。