気付いてよ

今のクラスはたまたま朋のことを好きな女子が集まってしまったらしく、私には居心地が悪い。

ことあるごとに言い様のない視線を送られるのは私としても不本意だから、授業以外の時間はほとんど教室にはいない。

だから、大倉くんとだって面と向かって話すのは初めてに等しい。

「そうだよね。で、どうしたの?」

改めて私は大倉くんに質問した。

大倉くんは少し前置いて言った。

「ちょっと、霧島さんに話があって。」

なんの話だろう?

「話?」

そう聞き返す私に大倉くんは、うん、と私に言った後、今度は真那に視線を向けて言った。

「ってことで、羽柴さん。霧島さんをお借りしてもいいかな?」

羽柴さんっていうのは真那の名字。

真那はおもしろそうに顔をにやにやさせて大倉くんと私を交互に見ながら言った。

「どーぞどーぞ。じゃあ先にクラス戻るわ。」

真那は私の肩をポンと叩き、ごゆっくり、と大倉くんに言いながらその場を後にした。

取り残された私たち。

また気まずい雰囲気が漂い始める。
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