気付いてよ

次の日、奏はいつも通りだった。

だから、俺は勝手にあの時はたまたま虫の居所が悪かったんだ、そう納得していた。
そして、その次の日にはもう一昨日の事なんて綺麗さっぱり忘れていた。

そして、あの日から4日位経った日の放課後、いつものように奏のクラスに行こうとした俺に友達の白石が話しかけてきた。

「なぁ、朋哉、お前知ってた?」

知るわけないだろう、いつも思うけど、こいつはいい奴だけど話に主語というか、大事な部分がないんだよな。

「はぁ?知るわけないだろーが。」

すると白石はまじで?真相を聞こうと思ったのに、と少し驚いたように言って話し始めた。

「お前の幼馴染の奏ちゃんがさ、昨日の昼休みに大倉に告られてるの見たって奴がいんだよ。」

大倉って、あのいかにも好青年って感じの奴か。

「で?奏のことだから断ったんだろ?」

「そこまではさすがに俺にも分かんないけどさ。でも、明確に断ったって噂は聞いてないんだよ。まぁ、奏ちゃん美人だし、彼氏いない方が不思議だよな。」

うんうん、と一人頷きながら白石はぶつぶつ言っていた。



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