気付いてよ
そして、呼吸を整えたらしい奏が口を開く。
「ねえ、一体なんなの?」
確かに、何も言わずにいきなり腕引っ張られれば、その言葉は妥当だと思う。
段々と冷静になってきた俺は、あることに気付く。
どうして俺は奏が告白されたって聞かされただけでこんなことしたんだろう。
こうすることが当たり前かの様にここまで来てしまったけそ、よく考えればおかしい。
でも、今は奏の質問に答える方が先だ。
「いきなりごめんな。外出たら話す。」
放課後の下駄箱には人がいるわけで。
さすがの俺だってこんな大勢の前で告白されたのか?、なんて言うほどじゃない。
分かった、と短く答えて、奏は自分の下駄箱の方に歩いて行った。
上履きからローファーに履き替えて、ほぼ同時に下駄箱の陰から出てきた奏と校門に向かって歩き出す。
なんだか改まってしまうとさっきの勢いはどこへやら、俺はなかなか話しだせずにいた。
気まずい沈黙に包まれる。