気付いてよ
さっきは泣いていると思った。
まぁ、よく考えればさっきの会話に奏が泣くようなことは無かったから、俺の判断は間違いだってことになるけどさ。
なんでか知らないけど、泣いている奏を見て俺は焦ってた。
目になんか入ったと聞いたときは心底安心した。
昔から奏は滅多に泣いたりしないから、たまに泣かれると心臓に悪い。
家に帰る道を歩きながら、俺はさっき奏の言った質問を考えていた。
『なんでそんなことが気になるの?』
そういえば、なんで気になるんだろう?
そして、俺は自分の真意などきちんと考えもせず一つの答えを出した。
幼馴染だからだよな、やっぱり。
今まで、兄弟のように育ってきた俺にとって、やっぱり奏は大事だし、特別な存在だ。
だから、告白されたと聞けば、普通に気になるし、いつも俺ばかりが恋愛相談に乗ってもらっているから、奏がそうなったら相談に乗ってやりたい。
まぁ、今のところ奏に彼氏なんて想像つかないけどな。