気付いてよ

その日俺は、新しい彼女、後輩の幸奈ちゃんと帰った。

幸奈ちゃんを送ってマンションに着いたとき、なんとなく奏の家を訪ねたけど奏はいなかった。
夜になって、恵美子さんから聞いたのか、奏からごめん、なんかあった?ってメールが来た。

特に用事があったわけでもなかったけど、久しぶりに奏の顔を見たくなった俺は、今大丈夫?、そう打って携帯を閉じた。

なんか、疲れた。

幸奈ちゃんは可愛い感じではあるけど、なんだか今日帰っただけで先が見えてしまった気がする。

長いため息をついていると、携帯が震えた。
画面にはもちろん、奏と表示されていた。

決定ボタンを押せば、大丈夫だよ、の文字。
俺は奏んとこ言ってくる、とリビングに向かって少し大きめの声で言って、家を出た。

と、隣から奏が出てきた。

「久しぶり。」

そういうと、奏も俺に久しぶり、と言った。

久しぶりったって、1週間とかそこらだけど、俺には結構会ってない感じがした。

久しぶりだからなのか、沈黙が流れる。


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