気付いてよ
帰りは予定通り、朋に告白する子は現れなかったみたいで一緒に帰った。
帰っている間は下らない話ばかりだったのに、その間、私の頭には告白のことはなかった。
いつもの様に、ただいま、と母に帰宅の挨拶を済ませ、自分の部屋に入った。
鞄からお弁当箱を取り出そうとすると、チカチカと光る携帯のランプが目に入った。
赤いランプが点滅しているときは、メールが来ている証拠だ。
受信ボックスの一番上の名前を見て、今日の出来事を思い出す。
メールの送信者は大倉くんだった。
内容は今日はいきなりごめん、という謝罪とゆっくりでいいから考えてみて欲しい、というなんともシンプルだけど、真剣みの伝わってくるメールだった。
朋といる間、こんな真剣に告白してくれた人のことを忘れていたと思うと、罪悪感を覚えた。
でも、思い出さないあたり、私はやっぱり朋が好きなんだと思い知らされる。