気付いてよ
最後の授業の後のHRを済ませてふと時計に目をやると、いつもの終了時刻よりも時計の示す時間は大分早かった。
今日は私が朋を待つのかな。
そんなことを考えながら、私は変える支度を進めた。
そして、支度も終わり席を立とうとした瞬間、私の隣にあるドアがガララッという音と共に勢いよく開かれた。
反射的に横を向くと、そこには肩で息をしながらものすごい形相で私を睨む朋が立っていた。
「奏、帰るぞ。」
驚く暇もなく腕を掴まれて、教室の外へと引っ張られる。
私は慌てて鞄を掴んだ。
いきなりどうしたんだろう?
全く状況を把握できないまま、私は成されるがままに朋について行く。
本当のところは、腕を掴まれている所為でついて行くしかないのだけれど。
何かしたってことはあり得ないはず。
もしかして、私が朋を好きだってバレたとか?
その案もすぐに消される。
そもそもそのことを知ってここまで怒る理由が朋にはない。