気付いてよ
朋に私は分かった、とだけ言って自分の下駄箱の方に靴を履き替えに行った。
私には未だに朋が来た理由が分からなかった。
ここじゃ話せないってことは、何か大事な話なのかもしれない。
それから、2人で校門に向かって歩き出した。
しかし、一向に朋が話し出す気配はない。
痺れを切らした私は、校門を出て少し歩いたところで朋に言った。
「で、どうしたの?」
そう訊いた私に全く予想しなかった言葉が返ってきた。
「奏さ、昨日大倉に告られたって本当?」
「…なんで朋が知ってんの?」
思ったことを、気付けば言っていた。
どうして、そんなことを朋が知っているのだろう。
でも、冷静になって考えれば、白昼堂々の告白だ。
誰に見られていたっておかしくない状況だ。
むしろ、気付かれない方がおかしいのかもしれない。
そんな考えの私を無視して、悪戯っ子のように笑って朋が言った。
「ってゆうかさ、言えよなー。でさ、やっぱ断ったんだろ?」
ねぇ、朋。
なんでそんなことが気になるの?
私のこと、もしかして…。
もしかして、そう思って私は朋に聞いた。
「…んで?なんで、そんなことが気になるの?」