気付いてよ

朋に私は分かった、とだけ言って自分の下駄箱の方に靴を履き替えに行った。

私には未だに朋が来た理由が分からなかった。
ここじゃ話せないってことは、何か大事な話なのかもしれない。

それから、2人で校門に向かって歩き出した。

しかし、一向に朋が話し出す気配はない。

痺れを切らした私は、校門を出て少し歩いたところで朋に言った。

「で、どうしたの?」

そう訊いた私に全く予想しなかった言葉が返ってきた。

「奏さ、昨日大倉に告られたって本当?」

「…なんで朋が知ってんの?」

思ったことを、気付けば言っていた。

どうして、そんなことを朋が知っているのだろう。

でも、冷静になって考えれば、白昼堂々の告白だ。
誰に見られていたっておかしくない状況だ。
むしろ、気付かれない方がおかしいのかもしれない。

そんな考えの私を無視して、悪戯っ子のように笑って朋が言った。

「ってゆうかさ、言えよなー。でさ、やっぱ断ったんだろ?」

ねぇ、朋。
なんでそんなことが気になるの?
私のこと、もしかして…。

もしかして、そう思って私は朋に聞いた。

「…んで?なんで、そんなことが気になるの?」


< 49 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop