気付いてよ

え…幻?
あまりの展開の速さについて行けず、私は彼が消えた方向をただジッと見つめていた。

と、30秒と経たないうちに周りがぱっと明るくなった。

そして、パタパタという上履きの歩く独特の音と共に再び大倉くんが現れた。

「こんな暗い所でどうしたの?ってゆうか、なにかあったんだ?」

目が真っ赤だ、と言いながら私にハンドタオルを手渡してくる。

何が起こったか分からず、黙ったままでいる私を見て大倉くんははっとした顔になる。

「あ、これ、このタオルさ、今日部活が急遽無くなってさ、使ってないから。」

勝手にあたふたしている大倉くんを見て、思わず笑ってしまった。

「ありがとう。」

私も本当は自分のハンカチを持っていたけど、今は大倉くんの行為が嬉しくて、素直に受け取った。

「良かった。ちゃんと笑えるみたいで。」

「えっ…?」

「さっき覗き込んだときさ、本当に悲しそうな顔してたから。」

そんなに酷い顔してたのかな。
やだな、格好悪いとこ見られちゃった。

普段は外で泣いたりなんて絶対しないのにな。
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