気付いてよ
入り口の前に立つ。
すでに公園には朋の姿があった。
いつもと全く変わらない感じでベンチに座ってぼーっとしていた。
もちろん私の存在には気付いていない。
私はこんなに緊張しているのに。
告白されるなんて少しも思ってないんだろうな。
私に気付いていない今なら、逃げることだって出来る。
でも、もう決めたから。
逃げ出したい気持ちを押さえ込んで、声を掛けた。
「ごめん。待った?」
「俺も今来たとこ。」
声に少し驚いた感じだったけど、朋は顔を上げて笑顔で言った。
この笑顔をこれから私の所為で曇らせる、そう思うと怯んでしまう。
けれど、もう自分の気持ちに嘘を吐き続けるのは疲れた。
朋に会えるなら、嘘を吐くことだって、なんだって出来ると思ってた。
でも、とっくに私はギリギリだったんだ。
限界への境界線は、もう見えない。