気付いてよ
何も言わずに朋を見つめる私に、朋は相変わらず笑顔を向ける。
私の大好きな笑顔を。
「座れば?ってゆうか、どうしたんだよ。いきなり呼び出したりして。」
珍しいじゃん、そう言って私に座るように促した。
「ちょっと、朋と話そうと思って…ね。」
「そっか、そっか。最近会ってなかったもんなー。」
「そ、そういえばさ、この前言ってた後輩とはどうなったの?」
こんなこと聞いちゃダメだ。
自分が辛くなるだけなのに。
自分の意思に反して全く告白と関係ない話をふった自分に驚いた。
長く一緒にいればいるほど、決意も覚悟も揺らぐと分かっているつもりなのに。
「あぁ。今日別れた。なんかダメだわ。気が合わないっつーか、なんてゆーか…。っていうか、俺と気の合う女子なんていんのかな?とか思う。」
やっぱり、朋を変えるなんて私には無理かもしれない。
相変わらずな彼の行動に、さっきまでの考えがさらさらと音もなく崩れていく気がした。
それよりもどうしようもないのは、こんな状況でも別れたと聞いてほっとしている私かもしれない…。
「そっか。…そうなん」
だ、という前に、突然朋は何かに気づいたように、あっ、と声をあげた。