気付いてよ

「…?どうしたの?」

「いたよ。俺と気の合う女子!奏じゃん。あーあ、奏みたいな子が他にもいればいいのになー。なっ?」

どうしたのなんて、聞かなければよかったのに。
自分の愚かさを呪いたくなった。

朋は分かってない。
その言葉が私にとって死ぬほど残酷ってことを。

分からないのなんて当たり前で、私の考えの方がずっと理不尽なくせに、私はそう思わずにはいられなかった。

「じゃあさ、私にすれば?」

「は?」

朋は何も悪くないのに、ぶつけることの出来ない、怒りと悲しみが混ざった様な気持ちに私はほとんど自棄になって、朋に言葉を投げた。

「私にすればいいじゃん。」

もう一度、今度はさっきよりもゆっくりと言った。

「なーに言ってんの。奏は幼馴染じゃん。」

やっぱり、そうだよね。
私たちは幼馴染、分かってる。

でも、もう幼馴染なんてうんざりだ。
< 71 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop