気付いてよ
「…?どうしたの?」
「いたよ。俺と気の合う女子!奏じゃん。あーあ、奏みたいな子が他にもいればいいのになー。なっ?」
どうしたのなんて、聞かなければよかったのに。
自分の愚かさを呪いたくなった。
朋は分かってない。
その言葉が私にとって死ぬほど残酷ってことを。
分からないのなんて当たり前で、私の考えの方がずっと理不尽なくせに、私はそう思わずにはいられなかった。
「じゃあさ、私にすれば?」
「は?」
朋は何も悪くないのに、ぶつけることの出来ない、怒りと悲しみが混ざった様な気持ちに私はほとんど自棄になって、朋に言葉を投げた。
「私にすればいいじゃん。」
もう一度、今度はさっきよりもゆっくりと言った。
「なーに言ってんの。奏は幼馴染じゃん。」
やっぱり、そうだよね。
私たちは幼馴染、分かってる。
でも、もう幼馴染なんてうんざりだ。