気付いてよ
私の肩をポンッと軽く叩きながら、朋は笑っていた。
私はその手を振り払うかの様に立ち上がった。
「いきなり立ってどうしたんだよ?」
「じゃあ、私が幼馴染じゃなかったら、付き合ってくれた?」
違う人が言葉を発しているのではないかと思ってしまうほど、私の声はいつも通りだった。
「あ?奏と俺が付き合うとか考えたことないからなー。」
うーん、と腕組みしながら朋は考える。
「でも、やっぱ俺たちは幼馴染だろ!」
うんうん、と1分も考えずに自分の出した答えに納得しながら朋が言った。
本当に自分には僅かな可能性もないんだと突き付けられた気がした。
否、気がしたではなく、これは紛れもなく目の前で起こっている現実なのだけれど。