気付いてよ

放課後、俺は白石に頼まれてバスケ部の手伝いをしてやった。

あいつに頼まれるのはなんとなく癪だったけど、切羽詰まってたっぽかったから仕方ない。

っていっても、職員室の顧問のとこに言って新しいユニフォームを取りに行くだけなんだけど。

顧問からユニフォームを受け取って教室棟から体育館に向かう途中、不と目にカップルが移った。

こんなとこでイチャついてなよなー、知ってる奴だったら明日学校でからかってやろう。

そんなことを思って目を凝らしてその男女を見た。

嘘だろ。

やれば出来るじゃんなんて思ったのが悪かったんだろうか。

だとしたら神様は少し心が狭すぎる。

だって、その男女の女子の方は奏だったから。

しかも、奏は泣いていた。

男子の顔は正直見たくなかった。
だって見当がついてしまったから。

こういう時の悪い予感は当たるって相場が決まってる。

奏を抱きしめるその男は、大倉だった。
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