気付いてよ

「なぁ、顔真っ青だぞ?大丈夫かよ。」

「ああ…。だいじょ…うぶ……じゃねー…かも。」

自分が何を言っているかも分からない。

「はぁ?お前ホント、ってちょ、おい!?」

白石と会話する気分じゃなかった。
俺は帰るわ、部活頑張れよ、そう言ってその場を後にした。

帰り道でも俺の頭にはさっきの映像だけがループしてた。

でも、そんな俺の思考は一旦ストップした。

マンションのエントランスの前で俺は足を止める。

エントランスの自動ドアの前にはさっき見たばっかりの2人がいた。

一番会いたくなかった2人。

「あ…。」

あ、じゃねーよ。
そう言った奏は泣き腫らした真っ赤な瞳で俺を見てきた。

少しは治まったイライラが、湧き出るように広がっていく。

< 90 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop