夜中散歩
一行だけの文を書き終わったとき、携帯のディスプレイが光った。
拓かな、と思って携帯に手をかける。

その瞬間、なんかその行動が恥ずかしくなって日記を見る。
すぐメールを返すのは、なんかいただけない。
自分らしくない。
そもそも自分らしさが分からないけど。

3分経ったのと同時に携帯を開いてメールを見ると、大きな月の画像が画面いっぱいに映し出された。
『待ちうけにすればいいことあるかも』
それだけ書かれたメールになぜか顔が笑う。
言われた通りに携帯の待ちうけに設定する。
『星が見えない代わりだね』
時計を見ると、深夜の三時半。
だけどメールは、私が寝てしまう5時まで続けられた。

『2000.11.07
傷ついた代わりに、大事なものを見つけました』


目覚まし時計がうるさく部屋に響く。
そして、お母さんの『起きなさい』という声で目を覚ます。
「・・・七時」
大きな溜め息とともに体を起こす。
カーテンを開けないまま、携帯を開くと、メールが二通来ていた。
一通はユキからのメール。もう一通は拓からだった。
『拓とどこ消えた~!?詳しく聞かせてね(^^)v』

拓からのメールを開いた途端、ベッドから飛び起きた。
そのメールの内容は『今から行くから』というだけの文章。
そのメールが届いたのは今から十五分前のことだった。

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