夜中散歩
そして少し歩くと近所が見えて、家が見える。
「家家!あたしの家!」
家を指差して、大声を出す。
「でけー家」
「・・・そう?」
うん、と言われて何かを思い出したかのように携帯を取り出した。
「ねぇ、アドレス教えて」
「なんで?俺のこと気になった?」
「はぁ?浮かれてんじゃねぇよ」

携帯をポケットにしまおうとすると、
「嘘うそ」
と言われて、家の前で降ろしてもらう。
「ごめんね、疲れたでしょ?」
「別に?」
「あ、そう」
笑って、もう一度携帯を出す。
「えっと・・・」
拓の携帯を貸してもらって、自分のアドレスを入力する。
「じゃあ帰ったらメールするわ」
「うん、バイバイ」

家の中へ入ると、なるべく音を立てないように部屋へあがった。
隣の部屋にはお母さん、下の部屋にはお父さんが寝ている。
そして電気もつけないまま、窓を開いて外を見る。
拓の姿は見えない。
少し切ない気持ちでいると、メールが届いた。


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