「好きになるはずなかったのに」
その恐ろしい姿が
この都会の念入りに磨かれたガラス達に映るのだ。
その度「ひっ!」と声をあげた。
冬実は、「ほら、私のおかげで街並みに馴染んでるでしょ?」と言うけど
それは安堵感に繋がらないのだ……。
そして、駅から程遠くないこの場所に辿り着いたわけだ。
会場は解放感溢れるガラス張りの、淡泊な作りで
壁は打ちっぱなしのどこか器械的な感じはしたが
そこからちらりと見える一枚の大きな写真に、露子は言葉を失くした。
「あ!居たよ!円谷さん!」
バシバシと露子の肩を叩くと同時、館内の円谷に愛想よく手を振る冬実。
それを無視して、露子の足はゆっくりと引き寄せられる様に
館内に入った。
「!露!私より先に行く気!?」
遅れをとったが、急いで露子を追い越し
一目散に円谷の元へとかけ出した。