「好きになるはずなかったのに」
冬実はそのまま円谷の側へ……
でも、露子は外からよく見える様に飾ってある大きな写真へ向かった。
「ちょっと!露?名前書いとくよ?」
「…………」
露子の耳には何も聞こえていないようだ。
目の前に広がる世界に浸っていたのだ。
それは両手を広げても持てないであろう大きさのものだ。
雷にうたれた癖の強い髪、顔は蟻が列をなした様なそばかすがあるし
歯は矯正の金属が見えるこの少女。
でもそんな容姿とは相違い、鏡の前で沢山の服を広げ
とびきりのお洒落をして
片目だけやっと上手く出来たビューラー
ママの真似をしてグロスを塗っているこの写真を
食い入るように見ていた。