白雪姫の惚れ薬


「よくぞ、聞いてくれました!」


途端にぱあっと顔を輝かせて、さっきの試験管を突き出してくる。


「これ、なんだと思う?」


何って……

いかにも、怪しげな青い液体。

色的にジュースではないだろうし、酒…でもないよな?

また、変な“薬”(と称した危険なもの)を作り出したに違いない。


……関わりたくない。

無言で立ち去ろうとするも、ショルダーバックを掴まれ、引き戻される。

ちっ……

俺の舌打ちなどおかまいなしに、姉ちゃんはにっこり笑って言った。


「“白雪姫の惚れ薬”」

「……は?」

「覚えてない?子供の頃、絵本を見ながらお話したでしょ。白雪姫のリンゴの話。」

「え…?ああ…」


なんとなく、蘇る記憶。


「約束したじゃない?“お姉ちゃんが絶対に作ってみせるからね”って」


言われてみれば、そんなこともあったような……


「これで、あんたの恋もばっちりだよ!」

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