流星群
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「…契約?」
あれからとりあえず丈は我慢して貰った。
そして今はかなりの急展開だ。
「そ、俺とあんたの契約。俺をここに置いてくれる代わりに俺があんたの生活費やらを払ってやる」
「…」
「どう?簡単でいい話でしょ?」
…普通は可笑しいかもしれない、たった数時間前に出会った人を家に住ませるなんて…しかも男を。
おまけに怪しいし、だけど…。
「期間とかはある訳?」
「特に決まってねえけど、一生って訳じゃない」
「そう」
そう返事をして立って台所の戸棚を開けてある物を探る。
あ、あった。
チャリ
「これこの家の合鍵」
「ってことは…」
「いいよ、あんたと契約しようじゃないの」
男は妖艶に笑うと
「じゃあとりあえず名前つけてよ」
「へ」
その顔から似つかわしい言葉が出てきたことに驚いて思わずトーンが外れたひょうきんな声が漏れた。
「名前って…あんた名前ぐらいあるんでしょ」
「本名はとっくの昔に捨てたしそれからは適当に名前つけて生きてたから決まった名前なんてねえよ」
「…ふーん」
名前、ねえ…?
外見を見ると金髪にふさふさした髪に二重の鋭い目に筋が通った綺麗な鼻、その下にバランスのいい形をした唇。
…さすがホストをやっていただけではある様に思わせる程のイケメンだ。