流星群
「じゃあ…」
どう見てもこの人とあの人は違うのに何故か一瞬重なった気がした。
だからなのか、勝手に口から出た言葉は
「じゃあ、桜」
「ふーん…んじゃ改めて俺の名前は桜よろしく。あんたの名前は?」
「白河雪」
「雪ね、よろしく雪」
チャリ
金属音と首にひんやりとした感触が伝わった。
「これ」
「雪が契約の証として合鍵渡した様な物だよ、俺からの契約の証」
あたしの首にはさっきまで桜がしていた銀色の十字架が吊らされいるネックレス、桜の手にはあたしの家の合鍵。
これで本当に契約が結ばれたんだという実感が沸いた気がした。
…今目の前にいる桜はあの桜ではないのに、どうしても名前を呼ぶ度に胸が苦しくなるのはどっちの桜へ対しての罪悪感なのか。
それはきっと誰にも分からない。
「雪」
「え」
雪、と呼ばれた声に意識が戻る。
あ、そっか…あたし今夕飯に使った皿洗いしてる途中だったんだ。
「いつ皿洗い終わんの」
「あ、ちょっと待って」
急いで残りの皿を洗おうと手を伸ばすと横から桜の手が伸びてきて「やっぱもういい。今日はいろいろありすぎて疲れてんだよな?皿洗いは明日にしてもう休も」と、優しく言った。
ただそれに小さく「うん」と頷くしか出来なかった。
桜とあの桜は違うもう思い出さない、そう言い聞かせて眠りに落ちた。