きいろい青空【完】
「いいの?彼氏、応援しなくて」
美久は意地悪な顔を見せた。
「言われなくってもするもん!」
でも、よく考えたら、自分のクラスの対戦相手を応援するとか…
どうなの!?
でも、あんなファンクラブに負けてたまるか!!
「たつ……っあ!」
うちの目には、シュートをはずしてばかりの直輝の姿が映った。
なんかイライラしているのが分かる。
なんで…直輝、外してばっかじゃん…!
大きく息を吸って、大声で言った。
「直輝!!外してないでちゃんと入れなよ!バァァーーっカ!」
体育館に響いたうちの声。
あと、時間ちょっと。
1点差。
「直輝。スリー打てっ!」
英斗が指示を出し、直輝はとっさにスリーポイントシュートの姿勢をとる。
時が止まったように集中し…
そして、ボールを放った。
「入れぇーーーーー!!!」
それだけを叫んだ。
ほんとうに、ただそれだけ。
入ってほしい。
回転しきれいにリングに吸い込まれていくボールを、目で追っていた。
シュッ----
っと音をたててリングを通り、ボトンと下に落ちた。
体育館の空気がしんと止まった。
「………入った」
と、うちがつぶやいたと同時に拍手と歓声に包まれた。