君の温もり

「あっ…」


思ってみればそうだと思ったあたしは思わず恥ずかしくなり、あたしは先輩を見て思わず笑みを漏らす。

そんな先輩はあたしを見てまた微笑んだ。



それからあたしの日課は毎日屋上へと出向かう事だった。

今までは、ただ屋上でのんびり過ごすって事だけだったけど今では先輩に会う為となっていた。

くだらない些細な日常会話があたしは好きだった。相変わらず先輩からは話は持ちかけてはくれないけど、あたしの話す会話にちゃんと耳を傾けて相槌を打ってくれる。

時たま笑う仕草とかその先輩の全てがあたしは好きだった。


でもやっぱり悪戯ってもんが必ずある。


「雨だ…」


教室の窓から顔を覗かせると空から落ちてくる大粒の雨にあたしは深くため息を付く。

もう、ここんとこ毎日だ。


6日くらい降りっぱなしの雨。止んだり降ったりしているから屋上には行けない。だから先輩とも会ってはいない。

雨は嫌いだ。会いたい人に会えなくなる。たった唯一会える大切な場所が雨で消される。


もちろん校舎内では会わない。1年と3年じゃあ階が違うし出会う確率なんてほぼ無いに等しい。それに探したって先輩は学校には来てないと思った。


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