君の温もり
会いたい…
そう人に会いたいなんて思った事は初めてだった。
先輩からペラペラと話してくれる訳じゃないけど先輩と居ると何だか落ち着く。先輩が笑った顔にあたしは癒される。
だからあたしは幸せって思える。
放課後を迎えて靴に履きかえあたしは空を見上げる。
「早く止んで下さい」
祈りを込めてあたしは手に持っている透明の傘を弾かせ開ける。雨から守ってるつもりでもやっぱり歩けば足元は濡れていく。
やっぱ雨は嫌い。
虚しくなった心とともに駅まで足を進めて行く途中、ファーストフードの店の屋根に佇む先輩を目で捕らえた。
「今日、来てたんだ」
制服を身に纏っている先輩は空を見上げて憂鬱そうな顔で空を見上げてる。
「先ぱ――…」
近づきながら勢いよく声を出したあたしの声は“ソウマ!!”と言う弾けた声に見事に掻き消されあたしの足はそこに佇んだ。
空を見上げてる先輩の頭上に差し出された真っ赤な傘が覆う。
他校の制服を来た女の人は誰がどう見ても綺麗と思わせる人だった。
友達?…いや、そうじゃないきっと。
誰がどうみても思うあの風景は付き合ってるとしか思えない。
微笑む女の人の隣で先輩は何かを話ながら傘を彼女から取り上げ、足を進ませる。
その先輩を追い掛ける様に女の人は足を進ませた。