君の温もり
「なんて言うか…ほら、あまり行っちゃいけない様な気がして…」
「何で?」
「何で…」
「だから何で行っちゃいけねぇの?」
「だって先輩、彼女居るからあまり係わらない方がいいと思いまして…」
ブツブツと呟くあたしの隣からまた深いため息が聞こえる。
「つか、お前はどんな妄想を考えてんだよ。居ねぇっつったじゃん」
「で、でもあたし見たんです。前、雨の日…先輩が女の人と歩いてる所を」
「俺が?」
「はい。赤い傘で一緒に…」
そこまで言うと先輩は、「あー…」って思い出した様に語尾を伸ばせる。
「だから…躊躇ったんです」
「いや、あの女は何でもない」
「何でもないって?」
「つか何?気になんの?」
見下ろしてくる先輩に何も言えなかった。気になると言えば気になる。だけど気にならないと言えば気にならない。と、言うか敢えて気にしない方が言いとでも言えばいいんだろうか。
「あ、いえ…そう言う訳ではないけど…」
思わず言葉が小さくなる。
そもそもあたしは先輩の事を気にしすぎだ。いくら話してるからと言っても彼女でも友達でも何もないのに。
でも、やっぱし気になるのは好きと言う気持ちが芽生えているからかも知れない。