君の温もり
「で、でも…」
「分かった分かった。俺が差して帰る。で、マジで家まで近いのか?」
「はい。ダメだったらお母さん呼ぶので」
「あぁ。それがいいかもな。つか、絶対迎えに来てもらえ」
そう言ってきた先輩に思わず笑みを漏らしクスクスと笑う。
「そこ、笑う所じゃねぇだろ」
未だに笑うあたしの額を先輩は人差し指で軽く押す。その所為でゆらっと揺れた頭とともに、
「だ、だって先輩、心配しすぎ」
そう言って先輩を見上げる。
「また風邪引いたら困んだろ」
「先輩もですよ?」
「だから俺は馬鹿だから引かねぇって」
フッと笑った先輩の笑みが好きだ。
ここまで引きつけられた人は初めてだった。
「じゃあな」
そう言った先輩はあたしに背中を向け、
「はい。ありがとうございます」
先輩の背中に向かってあたしは声を掛けると先輩は右手を上げヒラヒラと振った。