君の温もり

「傘、返しましたか?」

「うん?」

「傘。昨日パクった傘です」

「だからパクってねぇって」


そう呟いた先輩はやっぱり寝むそう。


「で、返しました?」

「あぁ。差してきたからついでに返しといた」


そんな先輩にあたしは笑みを漏らし足を進める。


「なら良かった。じゃ、寝ちゃダメですよ?」


あたしの教室の階まで来ると、あたしは眠そうな先輩にそう告げる。


「わーってる」


いかにも分かってはいないような返事で先輩は呟き階段をダルそうに上って行った。その先輩の背後をあたしは消えるまで見つめてた。

先輩を見るとやっぱし好きなんだなって実感させられる。

落ち着いた雰囲気も大人びてる要素とかも端正な顔も全てがカッコよく感じる。


結局その日は先輩に会う事はなかった。

お昼を過ぎたくらいから天気は回復し晴れ間さえも少しずつ見えてきたんだけどベンチが濡れている限り屋上へは行けなかった。


それから先輩を見たのは3日後の学校帰りだった。




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