君の温もり
「久しぶりです」
あたしが先輩に声を掛けたのは、もう夏休みに入る直前だった。
あの場面を見てからもう何日が経ったのかさえあたしには分かんなかった。
「おぉ」
ベンチに座る先輩はタバコを咥えたままあたしを見上げる。
「座ってもいいですか?」
見下げる先輩にそう小さく呟くと先輩は不思議そうに首を傾げる。
「つか、いちいち聞くなよ。今更…」
「ですね…」
ポツンと呟くあたしはいつもの先輩の左側に腰を下ろし小さく息を吐き捨てる。
「どうした?」
「え?」
「いや、何かいつもと違う」
「いえ、一緒です」
「ふーん…」
どうでもいいように返してきた先輩はあたしから視線を逸らしタバコを咥える。
先輩の吐き出した煙が鼻に沁みる。先輩のつけているほのかに香る香水が鼻に沁みる。
あたしの全ての神経が先輩に向く。
やっぱあたし…どうにかしてる。