君の温もり
「居るなら居るって言え」
不意に聞こえた先輩の声に少しだけビクって肩が上がったあたしは、空から視線を先輩に切り替える。
「あ、ごめんなさい」
「目開けた瞬間居るとビビるだろうが」
そう言った先輩は身体を起し伸びをする。
「いや…気持ち良さそうに眠っていたので起しちゃ悪いと思って…」
「熟睡まではしてねぇ」
そう言った先輩はポケットからタバコを取り出し咥えた瞬間、「あ…」と呟き目の前でライターを止めあたしを見る。
その光景が吸うのに躊躇してるんだと思ったあたしは、
「いいですよ」
そう微笑む。
「悪い」
カチッと音を鳴らして火を点けた瞬間、フワッと白い煙が頭上を纏った。
「久しぶりですね」
暫く経って何を話そうかと考えた瞬間、結局出てきた言葉はそんな言葉だった。
そんな言葉に先輩は「あぁ」って小さく返してくれる。
「屋上には来てなかったのですか?」
「うん?」
先輩はタバコを咥えたままあたしを見て首を傾げる。