君の温もり

Γ先輩はいつも一人ですか?」


話題を探そうとするあたしは、考え出した結果がこれ。

そんなあたしの言葉に先輩は、Γうん?」と言って少しだけ眉を寄せる。


Γあ、いや…いつも一人だな、と思って」

Γあー…。係わるのとか面倒だし、一人の方が楽」


そう言って先輩はまた新しいタバコに火を点けて空に向かって勢いよく吐き出す。

ふと思った。やっぱし先輩はあたしと似てる。考え方が似てるとでも言うんだろうか。分かんないけど先輩と似てる気がした。


「ですね。あたしもそうです」


小さく呟いたあたしに先輩はタバコを咥えたまま、「ふーん…」と小さく呟いた。


ここまで落ち着いてる人って初めて見た。

ほら、何て言うのかな?男子高校生ってもっとギャーギャー騒いでんのにこんなクールの人は初めて見た。

大人っぽい印象を与えてた先輩はやっぱ大人だった。


ま、あたしもどちらかと言うと控えめなんだけど…


会話がない空間が暫く続いた。いつもながら先輩から話してくるのはあまりない。って言うかそんなの当たり前だとは思うんだけど。

友達でも何の接点もないあたしとなんかと話す事なんてないよね。


だけどあたしはもっと先輩と話したかった。でも、何をどう話していいのか分からないあたしは黙るばかりで、そんな無駄な時間を過ごしてたら邪魔が入った。

邪魔と言うのはチャイム。

当然のごとく立ち上がるあたしに対して先輩は立ち上がろうとはしない。


「じゃあ、行きます」


そんな先輩に軽く頭を下げて数歩進んだあたしは、立ち止まりクルっと身体を先輩に向けた。

< 9 / 40 >

この作品をシェア

pagetop