( 新撰組 * 恋情録 )

 「 あたしは―‥西暦2010年から
      時を越えてここへ来ました 」

 一瞬の沈黙。

 「 ‥‥‥はぁぁぁああ?! 」

 土方歳三が声を荒げて詰め寄ってくる。

 「 2010年?!今から100年以上
  先じゃねぇか! んな馬鹿みてぇな話、
       信じろって言うのかよ?! 」

 土方歳三の後ろでは 沖田総司が、
 ( やれやれ‥ ) とでも言いたげに
 肩を竦め、何やら蝋燭を用意し始めた。
 ‥拷問の用意でもする気なのだろうか?

 「 話は最後まで聞いて! 」

 そんな二人を一喝し ( 最早タメ口 )
 あたしは話を続けた。

 「 事故に遭いそうになって
    目を閉じて、気が付いたら
        さっきの所に居たの! 」

 先程の一喝に驚いたのか
 目を見開いて固まっていた土方歳三が

 「 証拠は? 」

 とでも言いたげに目を細める。

 ( も―っ!さっきから証拠証拠って‥! )

 そう言われてももあたしのバッグは
 跡形も無く何処かへ消えていて
 証拠になるような物はありそうにない。

 ( あぁ、BA●ARAは何処へ‥ )

 泣きたい。←
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