守って☆タイガー
「ただいまー!」
元気良く大声で挨拶をしている女の隣で、俺はまたしても家の中の広さに驚くばかりだった
豪華なシャンデリアに埃ひとつない真っ赤な絨毯…
どこかの有名な画家が描いたと思われる絵や高価そうな置物が置いてある
きっとこのどれか1つでも壊してしまったら俺の人生は終わってしまうだろうな…
そんなことを思い、胃が痛むのを感じていると━…
「お嬢様!おかえりなさいませー!」
メイドらしき女が部屋から出てきて女の元へ急いでこちらへ向かっていた
すると…
━バタンッ!
「ハル!大丈夫!?」
「う゛ー…痛いですぅ…」
メイドは何かに躓いたのかド派手にずっこけた
女は心配そうにメイドを見るがメイドは痛そうにしながらぶつけたおでこと鼻を撫でている
そのメイドは天然パーマと思われる髪を左右に結んでいて、牛乳瓶の底のようなブ厚い眼鏡をかけている
まるで漫画に出てきそうなドジなメイドっぽい
常識外れなお嬢様といいドジっ子眼鏡なメイドといい…この家は本当に大丈夫なのか?
「お嬢様…こちらの鋭い目つきのいかにも悪人のような方は?」
「あぁん!?誰が鋭い目つきの悪人っぽい男だってぇ?」
「ひぃっ!」
まだ言葉を交わしたこともないドジっ子眼鏡に失礼なことを言われてキレそうな俺に
女は全く気にもせずメイドに俺を紹介する
「今日から私のボディガードをしてくれる寅安泰牙!トラって呼んで良いよ!」
「つか勝手に呼び名を決めてんじゃねぇ!」
女は何の悪びれもなさそうな屈託のない笑顔を浮かべながら言った
俺はそろそろツッコミする力に限界を感じつつも、呑気なことを言う女にツッコミをいれた