天国からのメール
地元の駅に着いた四人は、それぞれの自宅へ向かった。


聡は家に帰ると、小さめのキャリーバッグに明日のライブ用の服、寝巻き、下着を詰め込んだ。


念入りに、予備のスティックも多めに詰める。


「聡?どうしたの?今日、リハーサルじゃなかったの?」


聡子が部屋に来て不思議そうに言った。


「うん、もう終わったよ。今日は泊まりらしくて、一度荷持つ取りに戻ってきた。竜太の奴、みんなに言ってなくて」


「そう」


「じゃあ、行ってくるよ」


「最後のチャンスよ。頑張ってらっしゃい」


「うん。ありがとう」


再び家を出た聡は、また駅に向かう。


駅に着くと、ホームへ入る。まだ誰も来ていないようだ。


携帯電話を取り出した聡は、急に少し寂しい気持ちになった。


綾とメールできるのは、あと今日と明日しかない……


聡は、先に一人で会場へ行くことにした。


『今、電車。先に一人で会場に行くよ。』


『どうして?みんなを待たないの?』


『うん。綾とゆっくりメールしたいからね。みんながいると、会話の合い間にしかメールできないから……』


『そっか。なんか、嬉しいよ。』


『フフフ。でも、嫌だな、明日になるの……』


『どうして?大丈夫。きっと聡なら、優勝できるよ。』


『そうじゃないよ。綾と、メールできなくなっちゃう……』


『私も寂しいけど……でも、ずっと見てるから。メールできなくなっても、私はずっと聡のそばにいるよ。』
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