白銀の女神 紅の王
トン、トン…―――
デュークが執務室を去った数時間後、執務室の扉が叩かれる。
「入りますよ」
そう言って入って来たのは側近の一人であるウィルだった。
「まだやってたんですか?」
入るなり積み上げられた書類を見てそう呟くウィル。
「あぁ、今日中に終わらせようと思ってな」
視察に行ったイースト地区再建に関する書類に目を落としたまま答える。
「イースト地区はどうでしたか?」
「相変わらずだ。治安の影響でなかなか再建が進んでいない。予算を割いて治安維持費を増やす」
溜息交じりに答えれば、ウィルが沈んだ表情で「そうですか…」と呟く。
「結果を焦ってもしょうがない。長い目で見なければ再建など出来ないぞ」
明らかに落ち込んでいるウィルに声をかければ、ウィルは目を見張った後にふわりと柔らかく笑う。
「そうですね。昔の様なアーク王国を取り戻せるよう頑張りましょう」
再建に時間がかかると言う事はウィルにも分かっている。
ただそれが計画的にいっていない事が不安なのだろう。