白銀の女神 紅の王



「シルバも無理をしない程度にしてくださいね。最近執務室にいる事が多くありませんか?」

「気のせいだ」


そう言って机の上の書類に視線を戻す。




「気のせいじゃありません!」


すかさずウィルの少し怒った声が執務室に響く。


それに何も言えなくなる。

正直ウィルの言葉に身に覚えがあったからだろう。

最近執務室に籠る事が多くなった。




理由は一つ。


エレナのいる後宮に帰りづらいからだ。

目を覚ましてからと言うもの、体調が戻るまでベッドにはエレナが寝ていた。

その為後宮から遠ざかる生活となっていたのだ。

エレナの体調も回復したので、それももう必要なくなったのだが…

何となく帰りづらく、エレナが回復した今もこうして執務室で公務に明け暮れていたのだ。

しかし目ざといウィルに見つかってしまったからには逃げられない。



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