白銀の女神 紅の王
「今日はもうお休みになってください」
やはりそうきたか。
ウィルの言葉に盛大に溜息をつく。
「まだこれが残っている」
そう言って机の上の書類を掲げれば…
「これは僕がやります。どうせ印を押すだけでしょう?」
いつの間にか距離を詰めたウィルによって書類の束が奪われる。
「おい…ッ!」
そしてウィルはあっという間に執務室の扉の方へ移動し、こちらを振り向く。
「ではまた明日」
ニッコリと、それはもう清々しいくらいの笑顔で出て行った。
残された俺は唖然とする。
「しょうがない…帰るか」
誰もいなくなった執務室で呟く。
帰る理由が出来たことにほっと安堵する自分がいた。
いつから後宮は理由がなければ帰れない所になったのだろうか…
そう思いながらも歩いていると何時の間にか後宮の前まで来ていた。