白銀の女神 紅の王
「お前たちここは立ち入り禁止だぞ!何の権利があって勝手に入って来てんだ?」
人混みをかき分けウォルターが男の目の前に立つ。
すると男はおかしそうにクツリと皮肉めいた笑みを浮かべる。
「権利?そんなもの俺には関係ない」
そう言って男は深くかぶっていたフードをとる。
―――瞬間その場にいた全ての者の時間が止まった。
フードから露わになったのは闇に溶けてしまいそうなほどの漆黒の髪。
そして、薄暗い部屋に怪しく光る紅色の瞳。
なんて綺麗な紅……
照らす光などないのに闇の中で煌めく瞳に囚われた。
その男は危険だと頭の端で知覚していたが、目を離さずにはいられない。
一方ウォルターや賭博に来ていた者たちはまるで悪魔を目の前にしたかのように恐怖で顔が引きつっていた。