白銀の女神 紅の王
「そう…なの。それなら良かったわ」
必死に言葉を絞り出して答える。
ニーナは何か言いたげな表情をしていたが、それを押し込め作業に戻る。
ソファーに座りニーナがベッドメイクをするのをただぼーっと見つめる。
誰も使うことのないベッドをニーナは毎日整える。
それをいつも見ながら、今日は帰ってくるだろうか…と思うのだ。
ふと窓辺に近づいたニーナに声を掛ける。
「カーテンは開けておいて」
「けれど今日は満月ですから明るいですよ?」
不思議そうな顔を向けるニーナ。
「月が見たいの」
窓の外の月を見ながら、ゆっくりと呟く。
ニーナもつられる様にして外を見上げて、微笑む。
「分かりました」
厚手のカーテンに掛けていた手を離し、こちらに歩いてくる。