白銀の女神 紅の王
カタン―――――
部屋から微かな物音が聞こえた。
ニーナが何か忘れものをしたのだろうか。
そう思って閉じた目を再び開けば……
「ッ………!」
ソファーの前に黒いマントを羽織った見知らぬ男が立っていた。
空で止まった手は間違いなく私の方へ向いている。
「チッ…起きていたのか」
面倒くさそうにそう言った男の声が耳に届き、目を見開いた。
この状況は危険だと頭の中で警鐘が鳴り響く。
助けを……誰か……
「ニー…んんッ!!」
ニーナを呼ぶ声は男の手に寄って遮られた。
簡単に私を押さえつけた男は素早く短剣を抜く。
「おっと叫ぶなよ」
喉元に突き付けられた短剣の硬質な感触に体が硬直する。
「窓を開けっ放しとは王宮の警護も薄いな」
ククッと笑う男。
コワイ………
月夜に照らされキラリと光る短剣を目の端に捕らえ、恐怖に震える。