白銀の女神 紅の王
「つまらん。もっと抗ってみせろ」
その物言いはこの場にいる者たちの反応を楽しんでいるようだった。
「滅相もございません。この国で、シルバ様に逆らおうとする愚か者などございません」
めったに使わない敬語がウォルターの口から出てくるのを不思議そうに聞く。
床に伏せている頭を少し上げてウォルターの横顔を見れば、顔面蒼白で冷や汗をかいていた。
ウォルター様のこんな姿は初めて見た……
いつも私を怒る時はあんなに怖いのに。
だからこそそんなウォルターに恐れられる“シルバ”という人物が益々気になる。
「それで…シルバ様ともあろう方がこのような薄汚い場所にどのようなご用件で?」
ウォルターがおずおずと口を開く。
必死に笑顔を作ろうとしているが顔が引きつっている。
「確かにこんな薄汚い場所には興味もない」
ふっと小馬鹿にしたような笑みを浮かべる。
もともと人の下に従うタイプではないウォルターの顔が少し歪んだが、次の瞬間には再び顔面蒼白になる。