白銀の女神 紅の王
先程まで傍若無人な態度を取っていた男はゴクリと生唾を飲み、冷や汗をかいている。
答えに困っているのかはたまたシルバの威圧感に圧倒されているかは定かではないが、一言も発しようとしない。
「ソレは俺のものだ」
激情のままにシルバが唸り一歩踏み出す。
すると男は弾かれたようにビクッと体を揺らし、チッと焦ったような悪態をつく。
そして片手で後ろから拘束され、喉元に短剣があてられる。
「それ以上近付くな。この女がどうなっても知らないぞ」
僅かに震える声で男が叫ぶ。
「ッ……!」
男はシルバの登場に余程焦っていたのだろう。
それまで突き付けるだけだった短剣が初めて首筋の皮膚を薄く切った。
その痛みに思わず小さな声を上げる。
瞬間、紅の目を軽く見開かれたかと思えば、すぐに元の激情を湛えた瞳に戻り、シルバの歩みが止まる。
「何が目的だ……」
シルバは静かに口を開く。
「ただこの女を頂戴したいだけですよ」
引き攣った様な笑みを浮かべながら、シルバに視線を合わせる男。