白銀の女神 紅の王



「そのボスにこの女を献上しなければ俺が始末されるからな。これで失礼することにする」

「きゃッ……!」


短剣を喉元に突き付けられたまま、男の容赦ない力で後ろへ引きずられる。

思わず小さな悲鳴を上げれば―――




「エレナ!」


今まで聞いたこともない焦った声で名前を呼ばれる。

助けて…と声を上げたくとも短剣に阻まれる。

シルバが腰に下げていた剣に手を添え、一歩前へ出ると…




「動くな。動けばこの女が傷物になるぞ?」

そう言って男は短剣を首に滑らせる。


「ッ………!」

また一筋の血が流れた。



「クソッ……!」

シルバは盛大な悪態をつき剣に添えていた手を白くなるほどに拳を握りしめている。



「フッ…それでいい。そこで大人しく見ていろ」

シルバが歩みを止めたことに満足しながら男はどんどん窓の方へ後退する。



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