白銀の女神 紅の王
いや……ッ……
シルバが遠ざかっていく光景に心の中で声を上げる。
行きたくない………
目尻に涙が溜まり視界がぼやける。
助けて…と叫びたいけれどそれもままならない。
私が何とかしなきゃ……
窓まであと数歩というところで男の力に逆らい、踏み止まった。
「ッ………」
瞬間首にあてたままの短剣が皮膚を切るが、それを口を噛みしめて耐える。
その光景にこちらを黙って見つめていたシルバが驚愕に見開く。
「何を……」
男も驚き慌てたように短剣を遠ざける。
「この期に及んで抵抗するのか?」
男の言葉を無視して、スッと目を閉じる。
集中して…エレナ……
貴方の心が乱れていたら、結果に影響が及ぶのよ。
そう心で念じて自分に言い聞かせる。
そう……
私は今生まれて初めて自分の意思で人の心を読もうとしていた……