白銀の女神 紅の王



男の心を読めばこの状況から抜け出せる可能性があるかもしれない。

ひとかけらの可能性でもあるならばそれに賭けたい。

そう思いながら意識を集中させる。

急に立ち止まり黙り込んだことを不思議に思った男は「おい、なぜ止まる」と苛々しながら喋っているが、そんな雑音はかき消される。



その代わりに聞こえてきた男の心の声は―――



頭の中に流れ込んできた男の心。

今男は焦っている。

早く私をボスの元へと連れて行かなくてはいけないという想いが支配していた。

男がボスと呼んでいた人物の顔はよく見えなかったが、その人物が私を「生け捕りにして連れてこい」と男に命じている映像が流れ込んでくる。



“生け捕り”………


男とそのボスは私が人の心を読む能力がある事を知っていた。

この事実が示す事はただ一つ。

この人たちも私の能力を利用する気なんだわ……



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