白銀の女神 紅の王



「オイ!いい加減にしろ」


遂に荒々しい声を上げて怒鳴る男。

その怒鳴り声に一瞬、賭博場にいた頃を思い出す。


あの頃は毎日のようにウォルターに怒鳴られては、ただそれを受け入れていた。

何も言わず、逆らわず。

時にはジェスが助けに入ってくれるのを待っていた。

けれど今は誰も助けてくれない。

いつも助けを待っているだけではダメ…

走馬灯のように駆け巡る過去に終わりを告げる時が来た。





スッと顔を上げシルバの瞳を見据える。

柔らかい月の光に照らされた紅の瞳はいつもよりも優しく見えた。

そしてシルバを見据えたまま、ふわりと微笑む。

するとシルバは一瞬訝しげな表情をしたが、勘の良いシルバは何かを察したのだろう。




次の瞬間には、大きく目を見開き――――



「エレナッ!止めろ!」


シルバの大きな声が後宮に響く。

しかしシルバの焦った声が耳に入った時にはすでに体は動いていた。



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