白銀の女神 紅の王



それでも口を開く様子もない男とエレナに歩み寄ろうとすれば―――

焦った男の手元が狂い、エレナの首筋に赤い血がツーっと流れる。



「ッ………!」


月夜に照らされ更に白く輝く肌に流れる赤。

それを目の当たりにした瞬間ドクンッと心臓が嫌な音を立てた。

悲痛な表情で痛みに耐えるエレナを捉え、男を睨みつける。




「ソレは俺のものだ」


そうエレナは他の誰のものでもない、俺のもの。

傷つけていいのも俺だけだ。

先程動揺したのは自分の所有物を傷つけられたからだと決め込んだ。



しかし男からエレナに執着するわけを問われた時―――

エレナの口から、“大金を積んで買ったモノ”という言葉が出てきたことに、何故か激しい苛立ちを感じた。



エレナの言葉を否定するのか?



馬鹿馬鹿しい。

途中で答えを出すのを諦めた。


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