白銀の女神 紅の王
何をする気だ……?
何故か訳の分からない胸のざわつきに襲われる。
そしてそれは本物になった。
瞳を閉じていたエレナがスッと目を開いた時―――
いつも怯えを含ませて潤んでいる銀色の瞳が、覚悟を決めた様に俺を見据える。
そして俺には一度も向けた事のない微笑みを向けた。
嬉しさや楽しさを表すような微笑みではなく…
それはまるで……
ッ………!まさか………
「エレナッ!止めろ!」
常にない焦った声色で叫ぶも、既に遅かった。
エレナは男の手を振り払う。
シュッ―――
首元にあてられた短剣が滑る。
クソッ………
エレナの白い肌に流れ伝う血。
違和感を覚える程の赤に心の中で盛大に悪態をついた。