白銀の女神 紅の王
バンッ――――
同時に後宮の扉を勢いよく開けて入ってくる者たち。
「シルバッ!大丈夫ですか?」
その先頭に立っていたウィルが血相を変えてやってきた。
それもその筈。
王城への侵入者など久方ぶりの事で、ウィルも驚いたのだろう。
そもそも後宮には今まで自分一人だったので、護衛さえ付けていなかった。
「俺は問題ないが、エレナが怪我をしている。診てやれ」
「エレナ様がお怪我を!?」
脇にいたニーナが悲鳴じみた声を上げる。
「あぁ首を少し切っている」
そう言ってエレナの背中に回していた片腕を解く。
「分かりました。エレナ様、傷をお見せください」
ニーナがエレナに呼び掛ける。
しかし――――
「エレナさん?」
ニーナの呼びかけに応えないエレナにウィルが訝しげな声を上げる。